唐棣色(はねずいろ)

「その後、どうですか」

「起きてすぐに窓を開けると、飛行船が遊泳していましたね。
 私は北部屋だが窓は大きく、春霞を吸い尽すこともできる。」

「お腹は?」

「ココアはたっぷりと注ぐに限ると思っていたんだけれどね、
 今日は冷たいものを天気に任せて勢いで飲んでしまったよ。」

「黒いインクリボンはまだありますか?」

「使えない図形ばかり集めてしまって平仮名が1枚しか無い…
 しかももうどこにも売っている気配がないし…どうしよう…」



昨日、予想がつかない今後の家庭内予定を聞かされた。
定年まで後何年だというのに会社を立ち上げるらしい。

何てすごいエネルギーを持っている人なんだろうか…。
正直、あんまり性格とか考え方を知らないので驚いた。
継続も努力も出来る人だしなあ。成功すると良いなあ。
養父は美術にほとんど興味が無くて話も合わないけど、
それでも私のやることに関して無視はしないもんなあ。
いきなりこんな大きな娘を持って責任感を持てるって、
本当に凄いことで、私の頭じゃ想像すら追いつかない。

と、いつも通りのどんどんと離れた所で考えていたら、
母は「これからちゃんと計画通り成功したらいいよね。
そしたら私は隠れ家的な店とかやっても良いなあって。
粉ものと喫茶店は利益率高いんだって!(ニコニコ)」

うわ…この人は…

「絶対に経営向いてないんだから、オーナー探してよ」
って言ったら口を尖らせ「解ってるよー」とか言って、
ああ本当、こういうところは自分も同じだなと思った。

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