李の果皮へ

帰りの日、細波が起った。

底から眺める湖面ほど、しかし私達の方へ強く吹かれてのことだった。
最後の日だというのに、私の目は抑える事も出来ないで指まで向けて、
声を遮ってしまうので、反省しながらその湖水を呑む思いで見上げた。

あの時は、砂浜のある波音を結ぼうと必死に空に書き留めていたけど、
こうして、今帰って改めて思えば間違いなくあれは湖水でありました。

その事を考えれば紙っぺらに貼付けて持ち帰るなんて馬鹿な話は無い。



湖面の浮かぶ山の上から、隙き間を縫い日が射したらば春霞が現れて
向こう岸には檸檬が成り、桃は脹らみを破って上下しながら呼吸をし
蜜蝋花の匂い過ぎ去って、乾く息を蓄えた丸鳥の羽が踊り出していた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


3日目の昼に、
空には巻積雲や高積雲の類い、鰯雲/鯖雲/羊雲 が
さざ波のように頭の上を流れる様子に出会えたんです。
滋賀で出会ったんだから、当然それは湖水の波ですね。

0 件のコメント: