蚕私情




  靴を買う時には膝上スカートに素足で試着しなさい。
  その高さは、貴女の項を美しく支えているのかしら。
  フロントの抉りは膝も足首も甘く溶かしているわね。
  横を向いた踝とハイヒールであの人を射抜けるなら、
  一生分愛せる艶と色を何をしてでも手に入れるのよ。 」



姿見にキスを。

外苑前のお店で、冬のハイヒールに出会った。
ラウンドトゥで、夜鳥の羽のような濃紺の革。
美しく完成されていて、久しぶりに欲しい靴。
でもまだ試着していない。似合えば良いけど。



青いワンピースを作る為に良い生地を買って、
出来上がれば私は金と白を添えて冬を迎える。
来週には完成させて、みんなに合いに行こう。

それとは別に、作業着を作ろうとしています。
ワインレッドのブラウスと黒のセミタイトスカート。
暗がりにあるようなピーコックブルーも欲しいわね。
練習用だから、特別な事はしません。教科書通りよ。
鶏頭のように赤いカットソーと黒いサーキュラーも。

それを作り終えたら、ストライプのシャツを作るわ。
それは二枚一組なの。白と茶、赤と青、丸と三角で、
どちらも男性物のようにしていながら甘い顔なのよ。


魔法のシャツも考えてあるわ。新しい日が来る前に。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ホントに文章良いね〜!とろけた ミヤジより

宮国小貴子 さんのコメント...

ふふ、私の横暴な心を読んでも動じないのね!嬉しい。